カーリング研究【ブランクエンド】

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いよいよ北京五輪が始まりますね。みなさんの注目競技はなんですか?

フィギアスケート、ジャンプなどの花形競技の他に、ロコ・ソラーレのカーリングに注目という方も結構いるのではないでしょうか?競技は氷の張ったリンクの上でストーンを投げて得点を競います。詳細なルールはやや複雑なこともあり割愛しますが、氷上のチェスと言われるなど、頭脳戦の一面もあり見ていて楽しいスポーツとなっています。

ブランクエンドの存在

このカーリングで以前から気になっていたことがあり研究をしてみました。
それは「ブランクエンドの有効性」で、とくに終盤(8エンド以降)におけるものです。カーリングは得点をとったチームが次のエンドは不利な先行、得点を取られたチームが有利な後攻になるというルールなので、後攻のチームがで1点とることができるのにわざと0点にする「ブランクエンド」を選び、次のエンドでも後攻をとるという作戦があります。

カーリングは基本的には全10エンドですが、同点の場合11エンド(エキストラエンド)という延長戦に入ります。まず、9エンド後攻チームのブランクエンド作戦について考察してみることにします。

9エンド後攻でのブランクエンド

まず、下記の前提条件をおきました。
・8エンドまで同点
・9エンドの後攻チームがラストストーンをこれから投げる
・ハウスに石が無い状態など、1点とるかブランクエンド(0点)にするかを後攻チームが選択できる

実はこのような場合には、ブランクエンド(0点)を選択して10エンド後攻を取った方が有利といわれています。では実際にシミュレーションをして確認してみたいと思います。

後攻チームの得点期待値をこのように仮定します。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2

複数点は2点以上の場合もありますが、まれなので、2点の場合のみで期待値を計算することにします。また、後攻チームがブランクエンドを選択できる可能性もあるのですが、その可能性は考えません。

上記の場合に先行チームの得点期待値はこのようになります。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2

9エンドで1点取った場合

まず、後攻チームが9エンドで1点取った場合を考えます。
10エンドは先行となるので期待値とゲームの勝ち負けはこちらです。
 

  1点(先行チームの得点) 確率20% =0.2 勝ち
 -1点(後攻チームの得点) 確率60% =0.6 同点でエキストラエンドへ
 -2点(後攻チームの複数点)確率20% =0.2 負け

11エンドは後攻なのでその場合の期待値を考えます。

 -1点(先行チームの得点) 確率0.6×20%=0.12 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率0.6×60%=0.36 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率0.6×20%=0.12 勝ち

これで、全ての場合が計算できたので、勝ちと負けの場合を合計します。

勝ち=0.2+0.36+0.12=0.68
負け=0.2+0.12=0.32

このように、9エンドで後攻チームが1点とると、ゲームの勝敗は68%で勝ち、32%で負けとなります。

9エンドをブランクエンドとした場合

では、次に9エンドをブランクエンドとした場合の期待値を考えます。

 -1点(先行チームの得点) 確率20% =0.2 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60% =0.6 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率20% =0.2 勝ち

このように9エンドをブランクエンドとすると、ゲームの勝敗は80%で勝ち、20%で負けとなります。

先ほどの9エンドで1点取った場合と比べるとゲームに勝つ確率が68→80%に上がりました。
よって、9エンドで後攻のチームがブランクエンドを選択できる場合にはブランクエンドとした方が良いことがわかりました。

8エンド後攻でのブランクエンド

9エンド後攻の場合はブランクエンドが勝ることがわかりましたが、8エンド後攻の場合はどうでしょうか?実は以前から確かめたかったのはこのパターンです。まず、前提条件は下記とします。

・7エンドまで同点
・8エンドの後攻チームがラストストーンをこれから投げる
・ハウスに石が無い状態など、1点とるかブランクエンド(0点)にするかを後攻チームが選択できる

また、後攻チームの得点期待値をこのように仮定します。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2

8エンドで1点取った場合

まず、後攻チームが8エンドで1点取った場合を考えます。

9エンドは先行となるので期待値はこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2

9エンド先行で1点取る(スチール)と、10エンドが先行で期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2×0.2=0.04 勝ち
 -1点(後攻チームの複数点)確率60%=0.2×0.6=0.12 勝ち
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2×0.2=0.04 11エンドへ

11エンドは後攻なので期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.04×0.2=0.008 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.04×0.6=0.024 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.04×0.2=0.008 勝ち

以上より、8エンド1点、9エンド1点とる(スチール)場合の確率は 勝ち19.2%、負け0.8%です。

続いて、9エンド先行で1点取られて、10エンドが後攻の期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.6×0.2=0.12 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6×0.6=0.36 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.6×0.2=0.12 勝ち

以上より、8エンド1点、9エンドで1点とられるの場合の確率は 勝ち48%、負け12%です。

続いて、9エンド先行で2点とられて、10エンドが後攻の期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2×0.2=0.04 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.2×0.6=0.12 11エンドへ
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2×0.2=0.04 勝ち

11エンドは先行なので期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.12×0.2=0.024 勝ち
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.12×0.6=0.072 負け
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.04×0.2=0.024 負け

以上より、8エンド1点、9エンド2点取られる場合の確率は 勝ち6.4%、負け13.6%です。

これらを合計すると、8エンドで1点取った場合のゲームに勝てる確率がわかります。
8エンドで1点取った場合では、勝ち73.6%負け26.4%となります。

8エンドをブランクエンドとした場合

9エンドは後攻となるので期待値はこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2

9エンド後攻で1点取られる(スチール)と、10エンドは後攻で期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2×0.2=0.04 負け
  1点(後攻チームの複数点)確率60%=0.2×0.6=0.12 11エンドへ
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2×0.2=0.04 勝ち

11エンドは先行なので期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.12×0.2=0.024 勝ち
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.12×0.6=0.072 負け
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.12×0.2=0.024 負け

以上より、8エンドブランク、9エンドで1点とられる(スチール)場合の確率は
勝ち6.4%、負け13.6%です。

続いて、9エンド後攻で1点取り、10エンドが先行の期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.6×0.2=0.12 勝ち
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.6×0.6=0.36 11エンドへ
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.6×0.2=0.12 負け

11エンドは後攻なので期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.36×0.2=0.072 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.36×0.6=0.216 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.36×0.2=0.072 勝ち

以上より、8エンドブランク、9エンドで1点とる場合の確率は 勝ち40.8%、負け19.2%です。

続いて、9エンド後攻で2点とり、10エンドが先行の期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

  1点(先行チームの得点) 確率20%=0.2×0.2=0.04 勝ち
 -1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.2×0.6=0.12 勝ち
 -2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.2×0.2=0.04 11エンドへ

11エンドは後攻なので期待値とゲームの勝ち負けがこちらです。

 -1点(先行チームの得点) 確率20%=0.04×0.2=0.008 負け
  1点(後攻チームの得点) 確率60%=0.04×0.6=0.024 勝ち
  2点(後攻チームの複数点)確率20%=0.04×0.2=0.008 勝ち

以上より、8エンドブランク、9エンド2点取る場合の確率は 勝ち19.2%、負け0.8%です。

これらを合計すると、8エンドブランクの場合のゲームに勝てる確率がわかります。
8エンドでブランクの場合では、勝ち66.4%負け33.6%となります。

これらの結果より、8エンド後攻でブランクを選択できる場合では、1点取ったほうがゲームに勝つ確率が
66.4→73.6%に約8ポイントもアップすることがわかりました。スッキリしました。

このシミュレーションはでは、2点以上の複数得点やブランクエンド選択の可能性を見ていない、先行ゲームの得点確率が十分検証されていないなどの問題がありますが、この場合それらはあまり大きな問題ではなく、数値を統計値などに変更してシミュレーションをしても同じ結果になる可能性が高いと思います。

同点の8エンドでブランクエンドを選ぶべきか否かについて、解説者も解説に苦慮していた記憶があるのですが、「同点の8エンドでブランクエンドが選択できる場合には1点取るべし」でお願いしたいと思います。

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